雨上がりと五月晴れ 〜初夏の軽井沢散歩

初夏の旧軽井沢の別荘地。新緑の背の高い木々が並び、眩しい木漏れ日が差し込む美しい並木道

前回の記事で紹介したバーガーマニア軽井沢さんのすぐ奥には、「ノーマンレーン」と呼ばれる静かな小径があります。

明治時代に「軽井沢の村長さん」と呼ばれて親しまれた宣教師ダニエル・ノーマンにちなんで名付けられたというこの道は、歴史ある別荘が点在する、旧軽井沢らしい落ち着いた佇まいが魅力です。

お店を出ると、すぐ目の前から奥へと続く小径が目に入り、「あっちへ歩きに行きたいな」と、ふと緑の奥へと誘われてしまいます。

私は、一年の中で初夏の軽井沢がいちばん美しい季節だと思っています。

透明感のある光を受けて新緑は輝き、木々の間を吹き抜ける風は軽やか。

そんな景色の中を歩いていると、もっともっと歩いて、この空気を吸い込みたい気持ちになるのです。

今回は、雨上がりのしっとりとした日と、五月晴れのきらきらした日。それぞれの日に歩いたお散歩の記録をお届けします。

雨上がりの軽井沢散歩|深く潤う森と苔の美しさ

訪れたのは、数日続いた雨が上がったばかりの日。

バーガーマニアさんのテラス席を後にして、私たちはそのままノーマンレーンへ。

そこからは、気の向くままのお散歩です。

雨上がりの旧軽井沢。しっとりと濡れた緑の木々に囲まれたノーマンレーンの入り口の看板

ノーマンレーンを抜けると鹿島の森通りに出ます。左へ曲がると雲場池方面です

しっとりと濡れた散歩道は、歩いているだけで自分自身のお肌まで優しく潤っていくかのよう。

ひんやりとした静けさの中を歩いていると、心の中がすーっと穏やかに整っていくような気がします。

ふと軽井沢らしい浅間石の石垣に目を向けると、雨露をたっぷりと含んだ苔が鮮やかな緑を見せてくれました。

雨露のしずくがキラリと光る、苔の絨毯の上に生えた小さなカラマツの赤ちゃんの新芽

その苔の絨毯の上には、小さなカラマツの赤ちゃん。

黄緑色の柔らかな新芽の先には、雨のしずくがキラリ。愛おしい新しい命が息づいています。

雨上がりのしっとりとした森の中で、雨露をまとって鮮やかに潤うシダの葉のアップ
古い切り株の一面を覆う、雨を吸って青々と茂るもこもこした美しい苔

雨露に濡れた葉っぱや苔は、いつもより少しだけ色濃く見えます。

生まれたてのやわらかな緑も、雨をまとい、艶やかに。

高い木々に囲まれて真っ直ぐに伸びる、雨上がりで静まり返った新緑の森の一本道

恵みの雨を受け、森の緑たちが一斉に深呼吸をして元気に生き返ったような、そんな力強さを感じます。

この雨上がりならではの静かな森の表情もまた格別。すれ違う人も少なく、森を独り占めしているような贅沢な時間が流れていました。

五月晴れの軽井沢散歩|光と影が踊る森の小径

雨上がりのしっとりとしたお散歩から5日後。
私たちはまたまた、ハンバーガー屋さんへと向かいました。

この日は、「これこれ!これぞ五月晴れ!!」とお手本にしたくなるような、最高に気持ちの良いお天気。

濁りの全くないクリアな青空が、空のずーっと奥まで続いているかのようです。

そこへ、ぽっかりと真っ白な雲がぷかぷか。

「こんなに空がきれいな日も、なかなか無いよね」なんて言いながら、ニコニコと歩いていきました。

五月晴れのクリアな青空にぽっかりと浮かぶ大きな白い雲と、見上げる鮮やかな新緑の木々

空からは、この季節ならではの透き通るような光が降り注ぎます。

光を浴びた新緑はよりいっそう鮮やかに輝き、木々が落とす影は深く濃く。強いコントラストが、いつも以上に印象的に感じられました。

初夏の強い太陽の光と深い影のコントラストが美しい、新緑の森へと続く静かな小道

5月の太陽の光って、透明なのにほんのり淡い黄色をしている気がしませんか?

別荘地の住宅エリアを抜け、背の高い木々が茂る森へ入ると、どこからか「ミョイーン ギギギ……」という不思議な鳴き声が聞こえてきました。

少しカエルにも似たその声の主は、エゾハルゼミ。

軽井沢へ移住して最初の年、この鳴き声を初めて聞いたときは、「こんな時期に鳴くセミがいるんだ!」と驚いたものです。

あとから、それが高原の初夏を告げるエゾハルゼミだと知りました。

きらきらと光を反射する新緑の枝葉の隙間から覗く、爽やかな青空と白い雲

そういえば以前、雲場池の木道を歩いていたときのこと。

池の中で小さなセミが溺れているのを見つけました。

見かねた夫がそっと助け上げると、それがまさにエゾハルゼミ。

透き通る羽を持った、小さくて可愛らしいセミでした。

今ではこの声を聞くたびに、「ああ、軽井沢も夏が近づいてきたんだな」と感じます。

この大合唱が日に日に賑やかになり、やがて静かになる頃には、本格的な夏の訪れです。

透き通る美しい羽を持った、人の腕にそっと止まる小さくて可愛らしいエゾハルゼミ

お散歩の途中で雲場池にも立ち寄ってみました。

そこには絵本に出てきそうな白い雲がひとつ、青空にぽっかり。

やっぱり雲場池には、その名の通り雲がよく似合います。

この日は少し風が強く、水面はさざ波模様。

美しい水鏡はお預けでしたが、それでも十分すぎるほどの癒しの風景です。

五月晴れの青空とぽっかり浮かぶ白い雲、風で水面がさざ波模様に揺れる瑞々しい雲場池の初夏の風景

大空を背景に、新緑の葉がきらきらと光を反射しています。

お店を出たあとも、エゾハルゼミの声に見送られながら、森の小径をのんびりと歩いて帰りました。

差し込む光は木漏れ日となって足元の苔を照らし、緑の陰影が作る豊かな表情に思わず足を止めます。

眩しい木漏れ日を浴びて、森の足元で光の模様のように美しく輝く苔

数日前の雨の日に見せてくれたしっとりとした表情とはまた違う、からりと晴れた日の森や苔の美しい色。

何気ないお散歩でも、お天気が変わるだけで目に映る景色はずいぶん変わります。

だから何度同じ場所を歩いても、飽きることがないのでしょうね。


町では今、ヤマボウシの花が咲き誇っています。

木によっては緑の葉が見えなくなるほど花をつけ、遠くから見ると小さな白いハンカチが何枚も重なっているようです。

この花が咲き始めると、「もうすぐ夏がやってくるな」と感じます。

初夏の軽井沢の街中に咲き誇る、小さな白いハンカチを広げたような4枚の白花を枝いっぱいにつけた瑞々しいヤマボウシの木

季節は初夏から梅雨へ、そして夏へ。

軽井沢の景色も少しずつ次の季節へと移り変わっていきます。

📅 撮影日:2025.5.24・5.29


ここまで読んでくださったあなたに感謝を込めて… よい一日を。

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