教会と美術館とアップルパイ! 高原の夏を歩く❶(前編)

夏真っ盛り、標高950mの山の上でも30度を超えるほどの暑い日が続いています。

すれ違いざまに「避暑に来たんだけどね〜、こちらも暑いわね〜」と上品なご婦人。

散歩中に交わす何気ない挨拶の言葉も、こんな風になるくらい軽井沢も暑いです。

猛暑のせいか、心なしか旧軽井沢を歩いている観光客も少ないみたい。

窓の外の炎天下を目の当たりにすると、私自身も出来るだけ外出を短時間で済ませてしまおうと思ってしまいます。

それでも家の中で多くの時間を過ごしていると、だんだんと外に出たくてムズムズ。

できるだけ涼やかなカフェで夏の空気を満喫したい〜!

ということで、『セゾン現代美術館』内にあるカフェ『ヤマアラシ』へ出かけることにしました。

『ヤマアラシ』は庭園の緑を眺められる広々としたテラス席が心地よく、お料理も美味しい、お気に入りのカフェ。

人気の観光スポットから少し離れていることもあり、静かに過ごせる穴場スポットです。

更に、はりきった私は周辺を散歩することに。

美術館から『千ヶ滝別荘地』を抜け40分ほどで星野エリアまで行けることが分かり、歩いてみたくなったんです。

星野エリアにある『石の教会』と『軽井沢高原教会』を見学し『セゾン現代美術館』に戻る計画を立てました。

これまで『千ヶ滝別荘地」の中を歩いたことは無いので、今回はちょっとした冒険気分。

森の中にある別荘地は木陰も多いので「比較的歩きやすいはず!」と思いながら、いつもより長めのお散歩に出かけるのでした。

この日の空色は?

(7月28日 千ヶ滝西区の路上にて)

散歩には程よい曇り空、薄陽が射したり曇ったり。

気温は29度と高く風がないので、ちょっと蒸し暑く感じるけれど木陰に入ると過ごしやすい、夏らしい一日です。

高い木々の隙間から覗く空は曇っていても清涼感に溢れています。

『セゾン現代美術館』から、いざ出発

『セゾン現代美術館』前の広いスペースに駐車をしたら、お散歩のスタートです。

少しだけ美術館の入り口を覗いてみます。

「荒川修作+マドリン・ギンズ《意味のメカニズム》」の展示(2023年4月22日〜10月9日)が催されていました。

錆の風合いが味わい深い門扉の向こうに、美術館へ誘う美しいアプローチが続いています。

ついつい入ってしまいたくなるのですが、こちらは散歩の後の楽しみに♪

里池・御影用水五社宮へ

『セゾン現代美術館』の前には『里池』という静かな池があります。

池の水は透明度が高くて美しく、鴨が泳ぐ姿も見られます。

この里池は、浅間山麓の人々の暮らしを支えてきた農業用水路『御影用水』の基点となる貯水池として、重要な役割を担っている場所なのです。

御影用水とは

1650年(慶安3年)に小諸市の開拓者『柏木小右衛門』が小諸藩に願い出てにより開発された用水路。千ヶ滝と白糸の滝を水源とし、軽井沢ー御代田ー小諸と全長28kmにわたる農業用の水路です。また周辺エリアの雨水を受けるなど、治水の役割も果たしています。

この用水により小諸藩では830石の新田(御影新田)が開墾されました。

『御影用水』の二つの水源から流れくる用水は『里池』で合流。

その後すぐに『上堰・下堰』と呼ばれる2つの水路に再び分かれ、『セゾン現代美術館』へと流れていきます。

池の北側には『御影用水五社宮』があります。

水の神様・山の神様・土地や用水の守り神様が祀られていて、毎年5月初旬には『五社宮祭礼』が行われているそう。

先人たちから続く、命たる「水」への思いが伝わってきます。私も手を合わせずにはいられません。

『御影用水』はこの流れの先(道路下)で分流します。

千ヶ滝の別荘地を歩いていこう

水辺の景色を堪能したら、いよいよ出発!

まずは『ロイヤルプリンセス通り』にある『田崎美術館』を目指し、整備された千ヶ滝西区の別荘地の道をズンズンと歩いていきます。

多少の登り下りはありますが、ほぼ平坦で歩きやすい道でした。

千ヶ滝別荘地とは

大正時代に『堤康次郎』(西武グループ創業者)によって開発された中軽井沢の別荘地。約690万㎡の広大な敷地には歴史ある別荘が立ち並んでいます。

古くから文化人や外国の人たちを魅了から愛されたリゾート地です。

道の途中には、このような美しい水路のある風景も見られました。

千メートル林道を横切り『ロイヤルプリンス通り』へ。

整然とした石垣と並木道が美しい通りです。

ここまで約30分、流石に額から汗が流れますっ。やはり夏ですものね。

ロイヤルプリンス通りとは

皇室専用の『千ヶ滝プリンスホテル』があったことが由来となって、名付けられた通り。

『千ヶ滝プリンスホテル』は皇族の朝香宮家の別荘跡に、千ヶ滝一帯を買収・開発した西武グループの創業者の『堤康次郎』によって建設されました。

田崎美術館の前にやってきました。

文化勲章受章画家『田崎廣助』の山岳を中心とした見応えのある作品群が素晴らしいのですが、『原広司』設計による建物自体も魅力的な美術館です。

『田崎美術館』の前で左折して小道を5分ほど歩けば、目的地はすぐそこです。

ひとまず、到着!

右が『軽井沢高原教会』、左へ進むと『石の教会』、正面は『軽井沢ホテルブレストンコート』です。

ここまで殆ど人とすれ違うことはありませんでしたが、こちらでは多くの人が行き交っています。

汗をかいているので、ちょっと恥ずかしいなぁ….

特にアジア圏からの観光客の方が多いみたい。さすがは人気の観光スポットです。

まず『軽井沢高原教会』へ向かうと、ちょうど結婚式が行われていて入場は出来ないとのこと。先に『石の教会』を見学することにします。

どちらの教会も人気の結婚式場なので、土日祝祭日やブライダルシーズンは入場できない時間が多いです。

そんな時は、遠くから幸せのお裾分けをいただきましょう。

石の教会 内村鑑三記念堂を見学

キリスト教者・思想家『内村鑑三』の無教会思想に感銘を受けて作られたという『石の教会 内村鑑三記念堂』。

フランク・ロイド・ライトの流れをくむ『K・ケロッグ』により設計されています。旧約聖書の天地創造の五つの要素である光・水・木・石・緑によって構成された建築物です。

トンネルのように見える天井は石とガラスが重なり合い、天井のガラスから射し込む光が荘厳な気持ちにさせてくれます。

何度訪れてもスタイリッシュでありながら、自然の温もりも感じられる教会です。

左:下階へと続く階段 

右:裏手の出入り口から空を見上げる

礼拝堂の中は更に素敵ですが、残念ながら撮影は禁止されています。

ぜひ実際に訪れて、光と緑と水の音が織りなす癒しの時間を過ごしていただきたいです。

石塀で築かれた回廊は西洋の城壁のよう。異世界をさまよう冒険者になった気分に。

石の教会 内村鑑三記念堂の情報

住所長野県北佐久郡軽井沢町星野Map
アクセス<車>長野新幹線軽井沢駅より15分
   上信越自動車道 碓氷・軽井沢I.C より20分
TEL0267-45-2288
見学可能時間帯10:00~17:00
※結婚式が行なわれている際は、ご見学できません
※季節やイベントにより時間が変更になる可能性あり
料金無料
駐車場あり
URLhttps://www.stonechurch.jp
<8月1日~31日> 19:00~21:00にライトアップあり

軽井沢高原教会の庭園を散策

石の教会を見学した後は『軽井沢高原教会』へ。

結婚式の関係で教会内の見学はNG、ですが庭園内に入り外観を観察することはOKとのこと。

少しばかり庭園を散策します。

『軽井沢高原教会』は大正10年からの由緒ある、軽井沢を代表するプロテスタントの教会。

周囲の自然と調和した佇まい、木の温もりを感じます。

デザインもシンプルかつ、可愛らしいですよね。

「私だったらコチラで式を挙げたいかな〜…でも石の教会もカッコイイな〜」などと妄想して、ついついニヤニヤしてしまいます。

『教会の森』と名付けられた庭園はとてもロマンティック。

可愛らしい松ぼっくりのようなライトが頭上に飾られていました。

軽井沢高原教会の情報

住所長野県北佐久郡軽井沢町星野Map
アクセス<車>長野新幹線軽井沢駅より15分
   上信越自動車道 碓氷・軽井沢I.C より20分
TEL0267-45-3333
見学可能時間帯10:00~17:00
※結婚式が行なわれている際は、ご見学できません
※季節やイベントにより時間が変更になる可能性あり
料金無料
駐車場あり
URLhttps://www.stonechurch.jp
and more8月1日~31日
サマーキャンドルナイト開催(完全予約制)
詳しくは特設サイトにて

2022年冬に開催されたキャンドルナイトの様子はこちら


2つの教会を見学し身体も休まったところで、さてと『セゾン現代美術館』まで戻りましょう!

(後編)に続く!!

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