軽井沢はガラスの森に! 雨氷に包まれた特別な三日間

皆様、こんにちは。
今回は、この冬一番の感動をお届けします。

突如訪れた冬の魔法、それは2月22日の朝の出来事でした。

雨氷』という珍しい気象現象が、軽井沢とその周辺を幻想的な景色に一変させたのです。

朝目覚めると、窓の外に広がる世界が美しいガラス細工のように変わっていました。

信じられないことに、町全体が透き通るような氷に包まれていたのです。

「この奇跡のような瞬間を逃すまい」と、私は急いで外へと飛び出しました。

雨氷って何?

10年に一度? 不思議な『雨氷』

軽井沢で雨氷が見られたのは、なんと2010年以来のこと。

私にとっては生まれて初めて目にする、まさに驚きの光景でした。

目の前の全てが氷に覆われ、樹木も電線もツララがいっぱい。特に午前中の道路はつるつるで、歩くのも怖かったです〜

雨氷とは

過冷却状態の雨粒が、樹木や建物などの地表の物体に付着して凍結し、硬く透明な氷でその物体が覆われる現象

全国的にも珍しい現象で、長野県での発生例が比較的多いのだそうです。

過冷却:水が0℃以下になっても凍らない状態のこと

「上空に0℃以上の暖かい空気の層が存在&地表付近の気温が0℃以下」という特異な気象条件の時にのみ、雨粒が地表付近で冷やされて過冷却状態となります。(通常、上空は地表よりもずっと気温が低い)

その過冷却状態となった雨粒が、地表にある0℃以下の物体に付着した時、雨粒が凍り『雨氷』となるのです。

長野県ではこれまで、標高650〜1650mのエリアで雨氷を観測しており、最も多く発生するのが標高950~1250mのエリアなのだそう。

今回軽井沢町から東御市の辺りまでの、標高の高いエリアで雨氷が観測されていたそうです。

軽井沢駅の標高は940m。雨氷の発生しやすい条件が奇跡的に整い、この珍しい現象に出会うことができたのでしょう。

長野県林業総合センターの情報Wikipediaを参照しています>

撮影日:2024.2.24

浅間山にかかった横に広がる長い雲。雲の下に見える白い部分は『雨氷』の帯?

美しさと、厳しさと

眩く美しい雨氷ですが、全てを覆い尽くす分厚い氷によって、甚大な被害をもたらされることがあります。

凍りついた木の枝に触れてみると枝先までカチコチに固まっていて、柔軟性は全く感じられません。わずかに力を加えただけで、折れてしまいそう。

さらに、氷の重さは新雪の20倍にも達するのだそうです。氷に覆われた樹木が心配になります。

実際に、町内の多くの道路で倒木が報告されていました。

鉄道においてはパンタグラフと架線の凍結が原因で「しなの鉄道 軽井沢〜小諸間」の運行が中止されるなど、交通に大きな影響が及びました。


雨氷が創り出した美しさと厳しさが共存する荘厳な世界。

その煌めき、透明感、氷から発せられる繊細な音、そして重く張り詰めた空気の感触… まだ心の中に残り続けています。

私は町を歩き回り、数えきれないほどの写真を撮りました。

この感動を、皆さんと分かち合い、一緒に思い返していきたいです。

2024.2.22 雨氷に包まれた朝

すっかりと景色が変わり果て、見たこともないような光景が広がっていました。

空気はピンと張り詰めていて、周りは静まり返っていました。聞こえてくるのは、風が吹く音と、氷が氷が擦れ合うカチカチという音だけ。

氷に包まれた植物たちは、まるで精巧に作られたガラス細工のようでした。

2024.2.23 氷と白雪が輝く夜

雨氷が発生した翌日には、雪が降り積もりました。

雪と氷で覆われた木々は、夜のイルミネーションに照らされ、より一層キラキラに。まるでおとぎの国にいるみたい。

夜の町はいつも以上に明るく、クリスタルのような輝きを放っていました。

2024.2.24 光を受けて

雪が止み夜が明けると、氷のベールで包まれていた町が、晴れやかな空の下でキラキラと輝き始めました。

暖かな太陽の光が降り注ぐと、まるで目を覚ますかように一層輝きを増していきます。

青空と雨氷が織りなす風景は、見ているだけで心が洗われるよう。言葉にできない美しさです。

強い光線を浴びた氷は、瞬く間に溶けていきます。

時折、溶けだした氷が地面に落ちて「パリンッ♪」という軽やかな音を響かせます。儚くも美しい瞬間です。

溶けてゆく氷はツヤツヤで、飴細工みたい

氷の呪縛から解き放たれた植物たちは息を吹き返し、ほっと一息ついているみたい。

雨氷が消えてしまうのは寂しいけれど、「森が冷たさや窮屈さから解放されるのだなぁ」と思ったら、私の心もなんだか温かくなるような気がしました。


私が目にした雨氷の美しさは、写真や言葉で表しきれるものではありません。

ですが、この記事を通して「雨氷の美しさ」を少しでも感じていただけたなら、本当に嬉しいです。

雨氷に再び出会える日が訪れるのかは分かりませんが、その時を楽しみに、のんびりと待っていたいと思います。


ここまで読んでくださったあなたに感謝を込めて… 
よい一日を。