旧三笠ホテルリニューアル 〜軽井沢の歴史を伝える洋館へ

10月初めの軽井沢は、白い雲が映える抜けるような青空。

この日は暑いくらいの陽気で、秋の光にリニューアルされた建物がきらめいていました。

前回はリニューアル前日に外から眺めただけでしたが、今回はついに館内へ。夫とふたり、カフェでのランチも合わせて、のんびり過ごしました。

ピカピカに生まれ変わったホテルは、どこか懐かしい空気をまとっていて、軽井沢の魔法が、建物の記憶を目覚めさせたようでした。

旧三笠ホテルの歴史とリニューアルのあゆみ

旧三笠ホテルは、実業家の山本直良が創業し、建築家・岡田時太郎の設計により1905年(明治38年)に竣工、翌年に開業しました。

当時としてはめずらしく、設計から施工まですべて日本人の手による純西洋式の木造ホテルで、ガス灯のシャンデリアや英国製タイルの水洗トイレなど、最新の高級設備が整えられていました。

外国人避暑客や渋沢栄一をはじめ文化人も滞在し、社交と文化の舞台として華やかな時代を築きます。

その上質さと優雅な雰囲気から「軽井沢の鹿鳴館」と呼ばれるようになりました。

しかし、戦争や時代の移り変わりのなかで休業と再開を繰り返し、昭和45年(1970年)に営業を終了。

一時は解体の危機に直面しますが、保存を望む声が高まり、昭和55年(1980年)3月に軽井沢町へ寄贈され、同年5月に重要文化財に指定されました。

そして令和7年(2025年)10月、耐震補強とバリアフリー化を含む大規模修復を終えて再公開。

当時の風格を損なうことなく復元され、今では再び多くの人が訪れる軽井沢の象徴として新たな魅力を放っています。

館内を見学|ロビーとエントランスホール

令和2年からおよそ5年をかけて保存・修理が行われた旧三笠ホテル。

建物の歴史的価値を損なわないように、最盛期だった大正末期〜昭和初期の姿に復元されています。残された資料をもとに、細部まで丁寧に再現されたそうです。

明るい光が差し込む、やさしい雰囲気のロビー

大きな看板が掲げられたエントランスをくぐると、広々としたロビーが出迎えてくれます。

温かみのある黄色の壁(卵漆喰)に、優美なシャンデリア、重厚なフロントカウンター…。クラシックな趣が漂うのに、不思議と古さを感じません。

豪華だけれど堅苦しさはなく、心地よいリラックス感があって、まるで自分もお客として迎えられたような気持ちになります。

高い天井には格子状のデザインが施され、柱や扉、腰壁の装飾にも小さな遊び心が感じられます。

重厚感の中に、やわらかな温もりが漂うフロント

宿帳には、当時の著名人たちの名がずらり

華やかな晩餐会の一枚

このロビーに立つだけで、気分が高揚しちゃう!

館内を歩いて|2階展示室とスイートルーム

やわらかな光に包まれた階段ホール

ロビーを抜けて、2階へと続く階段を上ります。

大きな窓から入る光が手すりを照らして、木の深い色合いがやさしく浮かび上がります。

階段の中央に敷かれたリノリウムにも、当時からのこだわりが。

縁に描かれた雷紋柄は、当時の手描き模様をもとに再現されたものだそうです。

天井の装飾が印象的

見上げると、天井の装飾が光を受けてやわらかく浮かび上がり、そのデザインがとても愛らしくておしゃれ。

細部からも、つくり手の美しさへの想いが感じられました。

この階段を上るだけで、少し背筋が伸びる気分

展示室

最盛期のホテル全景がわかる建物模型
当時の優雅な滞在を物語る小物たちも

階段を上がると、旧三笠ホテルの歴史を紹介する展示室があります。

これまでの歩みがわかる年表や修復の資料、当時の調度品や写真などが並び、長い年月を経て受け継がれてきたホテルの物語を感じます。

客人たちが軽井沢でどんな時間を過ごしていたのか―、展示を眺めているうちに、当時の華やかな空気がよみがえるようでした。

化粧室

当時としては珍しい水洗トイレも

展示を抜けると、男女に分かれた共同トイレも見学できます。

明治の時代にすでに水洗式が使われていたそうで、今の私たちが見ても違和感のない造りに驚かされます。

この時代にもう水洗トイレがあったなんて、すごい!

スイートルーム

展示室を見終えて階段を降りると、1階のスイートルームへ。

天井がひときわ高く、窓からやわらかな光が差し込む広々としたお部屋。

ベッドや家具が配置され、当時の雰囲気がそのままに再現されています。

どっしりとした佇まいの初期軽井沢彫
猫脚のバスタブが置かれた浴室

このスイートには、バス・トイレ・洗面台が備えられていたようす。

避暑地のホテルとしては、まさに特別なお部屋だったのだと思います。

シンプルなデザインの初期軽井沢彫の家具も印象的で、ここで過ごした人々の穏やかな時間を想像すると、思わずうっとりしてしまいました。

光が差し込む窓辺のテーブル。ゆったりと過ごす時間を想像して

特別で華やかな方々が泊まられたのでしょうね

美しさが息づく館内ディテール

歩いていると、思わず足を止めたくなる“ときめきポイント”がいくつもありました。

どれも、つくり手の美意識とあたたかな感性を感じさせます。

ひとつひとつ手作りの照明

今見ても色あせない、上品なデザイン

皮付きの丸太が並ぶ天井

素朴さの中にぬくもりを感じます

館内全体は、アーチや丸みを帯びたデザインが多く、その可愛らしくやさしい造りに、心が和みました。

三笠マーク

ロビーのカーテンボックスには、鶴と松をモチーフにした三笠マーク。
夫が「鶴のポーズが全部違うね」と気づいて、思わず感心してしまいました。

最上部に、翼を広げた鶴
こちらには背を向けた鶴の姿

カフェで過ごす優雅なひととき

まるで映画のワンシーンのような光景

見学のあとは、当時の客室を改装した2階のカフェへ。

四つの客室を活かしたクラシカルな空間で、大きな窓からやわらかな光が差し込んでいました。

ホテルの宿泊客になった気分

案内されたのは、窓辺のテーブル席。

格子窓越しに揺れる緑がきらきらと映えて、まるで自分もこのホテルに滞在しているような気分に。

客室の鍵をモチーフにしたキーホルダーが置かれていて、そんな小さな演出にも心がときめきました。

三笠ホテルのレシピを再現したビーフカレー

いただいたのは、名物の「三笠ホテルビーフカレー」。

信州産の牛肉がごろっと入っていて、やわらかく上品な味わい。まろやかさの中にほのかな苦味があり、当時の贅沢なひと皿を思わせます。

花びらが飾られたアップルパイ

デザートには、軽井沢らしいアップルパイを。

シャッキリとしたりんごが入った温かなパイと、アイスの組み合わせが好相性。

見学の余韻に浸りながら、穏やかな時間を過ごしました。

ロマンティックな雰囲気に包まれて、ちょっぴり優雅な気分〜♪

ミュージアムショップでおみやげ探し

見学とカフェを楽しんだあとは、ショップをのぞいてみました。

カフェでいただいた「三笠ホテルカレー」のおみやげ用をはじめ、ホテルの世界観を感じられるグッズが並んでいます。

お店イチオシのグッズたち。他にもたくさんの商品が並んでいました

長い時間をかけ、手間とお金を惜しまず修繕された旧三笠ホテル。

早くきれいになった姿を見たいとワクワクしていましたが、実際に訪れてみると、想像以上に素敵な施設になっていました。

エレベーターも新設されていて、どんな人でも訪れやすくなり、これからますます軽井沢の人気スポットになっていきそうです。

またひとつ、「ぜひ訪れてほしい場所」が増えました。

🏨 旧三笠ホテル
📍 長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢1339番地342
🚗 軽井沢駅から車で約10分
🕒 午前9:00〜午後5:00(最終入館16:30)
📅 水曜休館・年末年始(12/28〜1/3)
 ※祝日の場合は翌平日休館
 ※7/15〜10/31は無休
🎫 一般(高校生以上)1,000円/小中学生 500円
🅿️ 駐車場あり(乗用車25台・大型バス1台・車いす専用2台)
🗺️ Googleマップで見る
🔗 公式サイトはこちら

📅 撮影日:2025.10.6


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旧三笠ホテルの雰囲気に浸りたいなと思ったら「万平ホテル」や「ホテル鹿島の森」などがおすすめですよ。どちらも歴史を感じる素敵なホテルです。

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